2012年03月19日
社長は労働法をこう使え!

すごい本が出ましたのでご紹介します

『社長は労働法をこう使え!』弁護士・向井蘭 著(ダイヤモンド社)
本格派法律系ビジネス書では異例の大ヒットとなっています。
(Amazonランキング総合30位)
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本書には、労働トラブルの原因、対応、予防が書かれていますが、
最大の特徴は極めてリアルであること!
「セミナーで、しかも録音不可なら話しますよ」
というようなことが惜しげもなく書かれています。
私は向井先生のセミナーを何度も受講していますが、
セミナーだから言えることと思っていました。
それをまさか活字にするとは・・・。
その勇気には心から敬意を表します。
さて、本書は専門知識がなくても十分読めますが、
2時間で読めるような最近のビジネス書に比べるとちょっと骨が折れます。
そこで、もし読まれない方のために、
これだけは知っておいてほしいことをご紹介いたします。
それは「安易な解雇は会社を潰しかねない!」ということです

本書には次のようなことが書かれています。
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○第2章‐1『正社員を解雇すると2,000万円かかる』
正社員を解雇して通常の裁判になると次のような流れになります。
解雇→仮処分→本裁判
仮処分とは、裁判が長期にわたると原告は生活に困窮するため、
その間の生活費として会社に賃金の支払いを命じるものです。
さて、もし裁判で敗訴した場合、解雇は無効となるので、
社員はまだ在籍することになります。
したがって、解雇から現在までの賃金を支払わなければなりません。
でも、仮処分ですでに支払った分は控除できそうですが・・・
じつはできません。
なんと二重払いになってしまうのです

例えば次のようなケース。
解雇日~結審・・・2011年10月~2012年11月(25か月)
仮処分~結審・・・2011年3月~2012年11月(20か月)
一審裁判期間・・・2011年5月~2012年4月(12か月)
二審裁判期間・・・2012年5月~2012年11月(6か月)
賃金が月額30万円だとすると
仮処分期間・・・・・30万円×20か月=600万円
結審までの賃金・・・30万円×25か月=750万円
合計・・・・・・・・600万円+750万円=1,350万円
しかも、これだけ払っても解雇は無効なわけですから、
どうしても辞めてほしいのであれば、退職金の上積なども必要でしょう。
結局、2,000万円くらいかかってしまうのです

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中小企業でポンと2,000万円払える会社はないでしょう。
とはいっても、どうしても辞めてほしい社員がいることもあります。
その場合は、解雇するのではなく話し合いを持ってください。
いわゆる『退職勧奨』というものです。
通常は簡単に納得することはありませんから、そのときは手切れ金が必要になります。
とりあえず給料の3~4か月分は覚悟しておかなければなりません。
高いと思われるかもしれませんが、もめればこんな金額では済まないことは前述のとおりです。
ここは、経営者としての冷静な判断が必要でしょう。
◆和田経営労務研究所ウェブサイト◆http://www.jinsouken.jp/
Posted by 社会保険労務士/和田 栄 at 13:30│Comments(0)
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